合宿の前に、弊社が御社の業務をどこまで理解できているかを、いちど文書にしてお出しします。 お預かりした5案件の資料と、会社概要、これまでのお打ち合わせの内容から再構成したものです。 当日は、この理解を前提に進めさせていただきます。誤って理解しているところがございましたら、遠慮なくご指摘ください。 そのほうが、当日の時間を無駄にせずに済みます。
細部は後に譲るとして、弊社は御社の事業の骨格を次の5点として理解しております。
この3つは混同されがちですが、根拠になる法律が異なります。御社は3つとも備えた総合型であり、そこが強みであると理解しております。 商談で「御社はフォワーダーさんですよね」と言うと、微妙にずれます。
「乙仲」という言葉について
戦前の海運組合法にあった「乙種仲立業」の略が語源です。法律自体は1947年に廃止されており、 今は正式な法令用語ではありません。それでも業界では日常語として生き残っています。
業界では日常語として使われていると理解しておりますが、法令上の呼称ではないため、 本資料では「海貨業」という表記で統一しております。
1つの案件に、これだけの会社が関わります。メールのCCに知らない社名が並んでいたら、だいたいこのどれかです。
もっとも基本の型です。御社が船を押さえるケースで整理しております。 明正=御社の業務、荷主=お客様、船社=船会社、他=協力会社・税関。
この流れの中で「同じ数字」が何回書き写されるか
品名・数量・重量・荷受人は、荷主のインボイス → 社内指示書 → 税関申告 → ACL → B/L と、 最低でも5回、形式を変えて転記されます。しかも作る人も、使うシステムも、その都度違う。 ここが御社の業務量の大きな部分を占めていると理解しております。
輸出の逆ですが、登場する書類が変わります。特にA/N(アライバルノーティス)が起点になる点が違います。
輸入で絶対に理解しておくこと:立替金
関税と消費税は、納付しないと貨物が出ません。そのため御社が先に立て替えて払い、あとから荷主に請求します。
ここが物流会計の特殊なところで、動く金額は大きいのに、売上でも利益でもないお金が帳簿を通ります。 預り金と売上の切り分けを間違えると、売上が実態より膨らんで見えることもあります。 経理の方と話すときは、この話が出せると一段深く入れます。
書類は単独で存在していません。前の書類を写して次の書類ができるという連鎖になっています。 合宿で作る「書類チェッカー」は、この連鎖のどこかが切れていないかを見るものです。
左から右へ、同じ情報が転記されていきます。
どこか1箇所で書き間違えると、それ以降のすべてに伝播します。
| 略称 | 正式名 | 誰が作る | 役割 |
|---|---|---|---|
| I/V | COMMERCIAL INVOICE (商業送り状) | 荷主 | 売買の明細書。品名・数量・単価・金額・取引条件が入る。税関申告と代金決済の根拠になる、最重要書類。 |
| P/L | PACKING LIST (梱包明細書) | 荷主 | 何が何個、どう梱包され、正味重量・総重量・容積がいくつかを示す。物理的な中身の証明。 |
| S/I | SHIPPING INSTRUCTION (船積指図書) | 荷主 → 明正 明正 → 社内 | この言葉は2つの意味で使われるので注意。荷主から御社への船積依頼を指す場合と、御社が社内・船会社向けに作る指示書を指す場合がある。 |
| ACL | コンテナ船本情報 B/L Instructions | 明正(NACCS) | 船会社に対してB/Lにこう書いてくれと指示するもの。コンテナ番号・シール番号・重量・容積まで含む。 |
| B/L | BILL OF LADING (船荷証券) | 船会社 | 貨物の受取証であり、引換証(有価証券)。これがないと相手国で荷物が受け取れない。原本の管理が極めて重要。 |
| A/N | ARRIVAL NOTICE (到着案内) | 船会社 | 輸入時、いつ着くか・いくら払うかを知らせる通知。引取段取りの起点。 |
| D/R | DOCK RECEIPT (ドックレシート) | 明正 → ターミナル | 貨物をターミナルに引き渡した際の受取証。在来船やCFS搬入で使われる。 |
| L/C | LETTER OF CREDIT (信用状) | 銀行 | 代金支払いを銀行が保証する仕組み。書類の記載が条件と1文字でも違うと銀行に受け取ってもらえない(ディスクレ)ため、正確さの要求水準が跳ね上がる。 |
MASTERとHOUSEの違い(ここは聞かれると差がつく)
書類名に「MASTER」「HOUSE」と付くことがあります。これは誰が誰に対して出した書類かの違いです。
MASTER B/L … 船会社が、フォワーダー(御社)に対して発行するもの
HOUSE B/L … フォワーダー(御社)が、実際の荷主に対して発行するもの
御社が自社でHOUSE B/Lを発行する案件では、国際部が作成を担当します。 実際の案件資料でも「国際部(HOUSE BL作成)用書類」というフォルダが存在します。 つまり御社は、単に取り次ぐだけでなく自ら運送人の立場に立つことがあるということです。
この業界は日付で回っています。金額の話より、まず日付の話ができるかどうかで見られます。
| 用語 | 意味 | 外すとどうなるか |
|---|---|---|
| CUT日 (カット日) | コンテナをCYに入れる締切日。書類のカット日(ドキュメントカット)と貨物のカット日が別に設定されることもある。 | 船に載りません。次の船まで待ちになり、荷主の納期が崩れます。この業界で最も重い締切。 |
| 搬入日 | 貨物が倉庫に入る日。ここから梱包・通関の段取りが動き出す。 | 後工程が全部後ろ倒しになり、CUT日に間に合わなくなります。 |
| ETD | Estimated Time of Departure =出港予定日 | 船会社の都合で普通に動きます。動いたら関係各所に連絡し直しが必要です。 |
| ETA | Estimated Time of Arrival =到着予定日 | 相手国での引取段取りに影響。輸入では通関・デバンの計画がずれます。 |
| 本船動静 | 船の現在位置と、入港・着岸・出港の予定/実績。 | ここが更新されたのに書類が古いままだと、関係者が古い日付で動いてしまいます。 |
実際にこれが起きています
お預かりした実案件の中に、船会社の書類に書かれた締切日と、ヤードに問い合わせた実際の締切日が1日ずれていたケースがありました。 担当者が気づいて確認のメールを投げ、何往復かして解決しています。 別の案件では、メール本文で本船スケジュールが更新されているのに、社内の指示書は古い日付のままという状態も見つかりました。 合宿の書類チェッカーは、まさにここを機械に見張らせる話です。
御社のファイル名には 輸出案件 ※CIF当社にて本船BKG のような注記が必ず付いています。これが読めると、案件の性格が一発で分かります。
貿易では「どこまでを売主が負担し、どこから買主か」を国際ルールで決めます。よく出るのは次の2つです。
ここが御社の実務にとって本当に効く部分です。同じCIF条件でも、船を押さえる作業を誰がやるかは案件ごとに違います。
| ファイル名の注記 | 読み方 | 御社の仕事 |
|---|---|---|
| CIF 当社にて本船BKG | CIF条件で、御社がブッキングする | 船会社との交渉・スペース確保・スケジュール管理までフルで持つ。関わる範囲が最も広い。 |
| CIF 先方にて本船BKG | CIF条件だが、荷主側がブッキング済み | 船は決まっている前提で、倉庫・梱包・通関・書類を担当。船会社とのやりとりは限定的。 |
| FOB 当社にて本船BKG | 輸入で、御社が船を手配する | 海外の出荷者側と調整しつつ船を押さえる。英文でのやりとりが発生しやすい。 |
一般論ではなく、御社に固有の条件として把握している事項です。合宿の設計は、ここを前提に組んでおります。事実と異なる点がございましたら、ご指摘ください。
| 項目 | 弊社が把握している内容 | 合宿での扱い |
|---|---|---|
| 会社規模 | 1950年創立、社員140名。東京・横浜の港湾エリアに9拠点、総坪数20,000坪。 | 長年積み重ねてこられた運用がある前提で進めます。やり方を変えること自体は目的にしません。 |
| 事業の幅 | 港湾運送・通関・梱包・倉庫・輸出入手続代行・航空/IATA代理店・貨物自動車運送・保険代理・複合一貫輸送。 | 特定の業務に偏った決めつけをせず、実際の案件資料に沿って進めます。 |
| 海外拠点 | インド・中国に拠点。インド進出10周年を前面に出している。 | 海外拠点とのやりとりは英文メールになるため、応用ワークのテーマ候補に入れております。 |
| 危険品 | 危険物倉庫を保有。塗料などの危険品輸出も扱う。 | 危険品は必要書類が増えるため、書類の充足チェックの題材として適していると考えております。 |
| 基幹システム | フォワーダー向けパッケージを使用。社内指示書もここから出力。 | パッケージのため、当日は基幹システムへの書き込みは行いません。取込用のデータを作るところまでを範囲といたします。 |
| 倉庫システム | WMSパッケージをカスタマイズし、開発元のサーバで稼働。保守も開発元へ委託。 | 同じく直接の連携は行いません。データの出口はCSVという前提で考えております。 |
| 通関システム | NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)を利用。AEO認定事業者。 | 国のシステムのため対象外です。AEO認定事業者であることは、書類の正確さが事業の前提になっていることの表れと受け止めております。 |
| メール環境 | サーバはGoogle Workspace。クライアントはOutlookとThunderbirdが混在(個人の好み)。 | 当日はブラウザ側で扱います。メールソフトの設定変更や接続は行いませんので、社内の権限申請も不要です。 |
| メール量 | 1人あたり1日100〜200件受信。管理職は部下のCC分も見ている。 | 合宿のテーマをメールと書類に絞った、最大の理由です。 |
| 体制の特徴 | 営業30〜40名だが、全員が営業兼営業事務。1人が1社を丸ごと担当。 | お一人あたりの業務範囲が広いため、「まずお一人で使えるもの」から始める設計にしております。 |
お伺いした問題意識
「営業が本来やるべきなのは、お客様のところを飛び回って仕事を取ってくること。
でも実際は業務に追われて出られない。この業務を軽くしてあげたい」——このようにお伺いしました。
したがって本合宿の目的は、作業を減らすこと自体ではなく、外に出られる時間をつくることにあると理解しております。
お預かりした資料からは読み取れず、御社に直接お伺いするしかないと考えている点です。 当日その場でお聞きしますので、事前にご準備いただく必要はございません。 ただ、お答えによって進め方や題材を変えますので、先にお出ししておきます。
メールや書類に出てきたら、ここを引いてください。
本資料をまとめるにあたって、弊社が実際に目を通したものです。 御社にとっては当たり前の内容ばかりかと存じますが、どこまで調べたうえで当日に臨むのかをお示しする意味で、そのまま載せております。 社内で新しく担当に入られる方がいらっしゃいましたら、ご活用いただけるかもしれません(2026年9月時点でリンクの生存を確認済み)。
この3本で全体像が掴めると感じたもの
① 乙仲とは(業態の理解)→ ② 海上コンテナ輸送の一連の流れ(物と書類の動き)→ ③ 貿易書類の超基本(書類の役割)
A. 業態を理解する(海貨業・フォワーダー・通関)5本
【ビギナー向け貿易用語解説シリーズ】乙仲(おつなか)とは? 通関業者とフォワーダーとの違いを徹底比較 国際物流入門【エフシースタンダードロジックス株式会社】 本資料の02章と、ほぼ同じ内容を動画で扱っています。 船会社と比較!フォワーダーってどんな仕事? 【イーノさん】フォワーダー大学 「船を持っていない会社が何をしているのか」が腹落ちします。 通関士、乙仲の仕事とは?船に積み込み、船荷証券(B/L)の入手までの貿易実務とは? 貿易アカデミー 貿易実務・貿易英語講師 ハリー・ヨシダ 御社の輸出業務に、いちばん近い範囲を扱っています。 フォワーダーとは?フォワーダーの業務・メリットなど幅広くご紹介!! -関通HD-公式チャンネル サプライチェーンを救う!物流の世界を繋ぐ”フォワーダー”とは? ロジラボー物流革命B. 輸出入の流れを掴む4本
海上コンテナ輸送の一連の流れを動画で解説しました。貨物の流れと書類の流れを理解しましょう。 【イーノさん】フォワーダー大学 ★最優先。貨物の流れと書類の流れを分けて説明してくれるので、本ガイド06章の理解が一気に進みます。 輸出入の通関手続きの流れを完全解説! 物流倉庫チャンネル 通関のパートだけを詳しく。許可が下りるまでに何が起きるか。 貿易の初心者向け!海上輸送の流れについて解説しました。 【イーノさん】フォワーダー大学 1 貿易取引全体の流れ(入門編) 信用状(L/C)、船荷証券(B/L)等 ― 貿易実務検定 独学サポート動画 貿易実務 独学サポート動画 検定向けなので網羅的。体系立てて入れたい人向け。C. 書類を理解する(合宿の書類チェッカーの前提知識)4本
初心者向け!貿易書類の超基本を解説しました。インボイス、パッキングリスト、B/L、L/Cについて 【イーノさん】フォワーダー大学 ★まずこれ。合宿で突合する書類がまさにこの4つです。 InvoiceとPacking Listの書き方を解説!貿易の仕事で必須の書類について 【イーノさん】フォワーダー大学 どの欄に何が入るかが分かるので、AIに項目抽出させる設計に直結します。 貿易書類:インボイス(INVOICE)の内容、書き方、読み方 貿易アカデミー 貿易実務・貿易英語講師 ハリー・ヨシダ 貿易におけるB/Lの役割と流れについてアニメ動画で解説しました。 【イーノさん】フォワーダー大学 B/Lがなぜ有価証券なのか。ここが分かると原本管理の重さが理解できます。D. コンテナ・CY・FCL/LCL4本
【ビギナー向け貿易用語解説シリーズ】LCLとは?FCLの違いと使い分けるポイントを紹介~国際輸送の基本 国際物流入門【エフシースタンダードロジックス株式会社】 ★用語の整理はこれ1本で足ります。 貿易・海上輸送に使うコンテナについて解説!種類・サイズ・積載重量・グレードなど。 【イーノさん】フォワーダー大学 書類に出てくる「20 D」「22 GP」のようなコードが読めるようになります。 10-1 コンテナ / コンテナ船、FCLとLCL、Dock Receipt、Mate's Receipt ― 貿易実務検定 独学サポート動画 貿易実務 独学サポート動画 D/R(ドックレシート)の位置づけが分かります。 海上輸送のLCLとFCLの損益分岐点の確認方法とは?またLCLを手配する時の注意点についても解説しました。 【イーノさん】フォワーダー大学E. 体系的にやり直したい人向け1本
貿易実務検定C級独学応援っ!【①入門!貿易初心者の方が一番初めに見る動画】 貿易チャンネル シリーズもの。腰を据えて学びたい場合の入口。この資料でお伝えできていないこと
本資料は、お預かりした実案件の資料・会社概要・これまでのお打ち合わせから再構成したものです。 一方で、倉庫オペレーションの細部、通関実務の例外処理、危険品の規制については、まだ踏み込めておりません。 これらは当日、現場の皆様に教えていただく領域として残しております。
また、本資料の記述に誤りがございましたら、遠慮なくご指摘ください。 事前に直しておけるほうが、当日の時間を本来の作業に使えます。 些細な言葉づかいの違いでも構いませんので、お気づきの点をお聞かせいただけますと幸いです。